X870・B850・B840の違いとは?

新世代AM5プラットフォーム向けチップセットを徹底比較。

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各チップセットの概要

X870は最上位クラスのチップセットで、最新のPCIe 5.0およびUSB4に対応し、Ryzen 9000シリーズなどの次世代CPUとの組み合わせを前提とした高性能仕様です。B850は、その下位に位置しつつも、USB3.2やPCIe 4.0を中心に実用性を重視したバランス型の構成で、コストと拡張性のバランスがとれた設計になっています。B840は最廉価構成として、最低限のI/Oと制限付きの拡張性を持ちながら、事務用や軽作業向けに適しています。なお、従来世代のX670やB650と比べ、X870/B850系統はUSB4や電力設計の強化などを通じて、より高性能なデバイスとの親和性が高まり、世代交代の意味合いがより色濃く現れています。

チップセット仕様比較表

項目X870B850B840
PCIe対応PCIe 5.0(x16 + M.2)PCIe 4.0中心(x16 + M.2)PCIe 4.0(制限あり)
USB対応USB4 / USB 3.2 Gen2x2USB 3.2 Gen2USB 3.2 Gen1 / USB 2.0
OC対応CPU / GPU / メモリメモリのみ一部制限あり
SATAポート数最大6ポート最大4ポート2~4ポート
NVMe RAID対応RAID 0/1/10 対応RAID 0/1 対応非対応または限定的
CPU電源フェーズ設計16フェーズ以上推奨10~12フェーズ中心6~8フェーズ
用途ハイエンドゲーミング / クリエイター主流ゲーミング / 高負荷作業一般用途 / ビジネス

技術的な進化のポイント

AM5世代のX870/B850チップセットは、前世代(X670/B650)と比べて大きな技術的飛躍を遂げています。特に、X870ではUSB4やPCIe 5.0の全レーン対応、DDR5メモリへの最適化、電力供給回路の高効率化が図られており、従来のX670で見られた部分的なPCIe 5.0対応や外部チップ依存構成から脱却しました。B850もまた、I/O周辺の帯域強化、NVMeストレージ対応の拡充、高TDP CPUとの安定動作といった点で、B650に比べて実用性が大きく向上しています。これにより、AM5世代のマザーボードは、ハイエンドユーザーのみならず、メインストリーム層にとっても拡張性と将来性に優れた選択肢となっています。

X670とX870の違い

X670は従来のハイエンド向けチップセットで、PCIe 5.0はGPUスロットでのみ対応し、USB4は非搭載の製品が多い構成でした。一方X870ではUSB4を標準搭載し、全レーンにわたるPCIe 5.0のサポート、電力設計の強化など、次世代Ryzen 9000シリーズへの最適化が進められています。

項目X670X870
USB対応USB 3.2USB4(標準)
PCIe対応一部 PCIe 5.0全面 PCIe 5.0
対応CPURyzen 7000以降Ryzen 9000最適化

B650とB850の違い

B650はエントリーからミドルレンジを担うAM5対応チップセットで、USB3.2やPCIe 4.0に対応しつつも、高負荷時の電力供給や帯域には制限があります。B850はB650の後継にあたり、USBやNVMe対応の強化、より高TDPのCPUに対応可能な電源回路強化が施され、より信頼性の高い構成が求められるユーザーに適します。

項目B650B850
USB対応USB 3.2USB 3.2強化 + 一部USB4
NVMeスロット最大2基最大3基以上
電力設計中程度高TDP対応設計

まとめ

最新のX870、B850、B840チップセットは、それぞれ明確な用途と性能帯が設計されており、ハイエンド志向のユーザーにはX870が最適であり、価格と機能性のバランスを求めるユーザーにはB850が有力な選択肢となります。最小限の構成で十分な用途にはB840がコストパフォーマンスに優れています。前世代との比較からも、USB4やPCIe 5.0の標準対応など、I/O性能・電力設計の両面で明確な進化が見られ、今後のCPU・GPUの進化に対しても高い対応力を持つプラットフォームとなっています。